SPECIAL MAGAZINE #1

TAKU VERBAL

☆Taku Takahashiをナビゲーターに様々なゲストを迎え、
いま最も関心があることを“伝統”“革新”“熱望”“渇望”のキーワードに
沿って語るトーク番組『#ASPIRE with EMPORIO ARMANI SOUNDS』。
第1回目のゲストは、☆Taku Takahashiとのユニット:m-floでの活躍の他、
アクセサリーブランドAMBUSH® のデザインを手がけるなど、
ファッションシーンでも活躍するVERBAL。
ドイツから帰国したばかりのVERBALが感じる“#ASPIRE”なモノゴトとは?

PLAY

ベルリンのボロスコレクション

世界大戦の亡霊か? 最新アートの象徴か? 伝統と革新が渦巻くボロス・バンカー

☆Taku 「今日、ドイツから帰ってきたんだよね?」
VERBAL 「そうそう。ベルリンに行っていたんだけど、街自体がレイドバックしていて、すごくよかった」
☆Taku 「やっぱり東京での時間の流れ方は早いよね。常になにか追われている感じがあるよね」
VERBAL 「仕事で行ったんだけど、朝から晩まで毎日仕事をしているわけじゃないから。見たことない光景が多いから、街を歩いたりするだけですごく新鮮な気分になれたよ」
☆Taku 「実際に行かないとわからない空気感ってあるよね。肌で感じるからこそわかることがある。今回“伝統”のキーワードで挙げてくれたのが『ボロス・バンカー』だけど、これはどんなものなの?」

VERBAL 「これはベルリンにあるいわゆるアートミュージアムなんだけど、ナチスの時代の核シェルターを利用したものなんだよね(笑)。ボロスという人が買い取って、自分のコレクションを展示している。ベルグハイン(世界的に有名なベルリンのクラブ。変電所の建物を改造して使用されている)なんかもそうだけど、無骨な感じがかっこいいんだよね」
☆Taku 「面白いね~」
VERBAL 「半年先まで予約が入れられないって言われていたんだけど、ホームページ見たら、奇跡的に翌日にポツーンと空いてたから、これ行くでしょ!って(笑)」

ボロス・バンカーに見る伝統と革新の融和とは!? エピソードをもっと知るには番組アーカイブをチェック!

元・防空要塞に収められている異色の展示群「ボロス・コレクション」。書籍はVERBALの私物。

ドイツから帰国した当日に収録に臨んだVERBALが挙げたのが「ボロス・コレクション」。クリスチャン・ボロス氏とその妻は、現代アートの蒐集家として知られており、その膨大なコレクションを2003年から一般にも公開しているが、そのコレクションが展示されている建物が主役となる。第二次世界大戦時の1942年に建築されたナチスの“バンカー=防空要塞”なのだ。なぜ、こんな物騒な建物が残っているのか? それはバンカーゆえの頑健さが原因だった。2000人が収容できる巨大さを誇り(ボロス氏によって改造され、現在の広さは3000平方メートルだとか)、ほとんど窓もなく、厚いコンクリートでできた壁と天井……。こういった大戦の亡霊のような建物に美術品が展示されている、というだけで大いに興味を引くが、さらに面白いのはこのバンカーが現在までに辿ってきた軌跡である。
大戦後の1950年代は、東ドイツが所有する果物と野菜の保管倉庫として使用されていた。厚い壁と最新の換気施設が整ったバンカーの機能面に着眼された利用法で、当時は“バナナ・バンカー”と呼ばれていたとか。東西ドイツが統一されたあとは、ハードコアなフェティッシュ系のテクノパーティ「Sexperimenta」の会場となり、夜な夜な怪しい宴が繰り広げられる。この怪しいパーティは警察の介入によりなくなり、その後この施設を買い取ったのがボロス氏である。元来の使用目的から逸脱して、その時代とともにその利用法は変化してきたが、このバンカーはベルリンにずっと建ち続けてきた。現在は数ヶ月先まで予約で埋まっているほど、高い人気を誇るベルリンアート界の最先端ベニューである。人類が滅亡してもこのバンカーはまだあるんじゃないか。そんな妄想までしてしまう。

Elon Musk

21世紀最高の発明家!? スティーブ・ジョブズを超える起業家!? 夢を現実にし、
未来を変える男

☆Taku 「“伝統”では『ボロス・コレクション』を挙げてくれたけど、“革新”については、イーロン・マスクを挙げてくれたね」
VERBAL 「いわゆるIT系のビジネスで一攫千金を成し得た人なんだけど、テスラのCEOでもある。電気自動車をセクシーにして、ラグジュアリーにしたらポルシェもなくなるってことをやったり、民間で宇宙ベンチャー企業を始めた人なの」
☆Taku 「国がやっているようなことを民営化させていくと、競争が生まれていくよね」
VERBAL 「お金もあるからやっていることもぶっ飛んでいるんだけど、スペースシャトルや衛星を飛ばしたりしていて、その発想の始まりが『なんで民間はやっちゃいけないんだ』ってことなんだよね。NASAにしたって、競争が生まれたり、助けあったりできるから、互いに発展できる。でも、その発想がとにかくでかくて、チャレンジ精神も含めて、本当にかっこいいよね」

イーロン・マスクの革新性が他とは違った理由は…? エピソードをもっと知るには番組アーカイブをチェック!

読者諸氏が子どもの頃に想像した未来の生活とはどんなものだったろうか? 民間人による宇宙旅行? 透明のチューブの中を走る乗り物? SF映画や雑誌の挿絵でよく見かけるシーンだが、それをすべてビジネスとして実現し、巨額の富を稼ぐ男がいる。イーロン・マスク氏、その人である。米フォーチュン誌による「ビジネス・パーソン・オブ・ザ・イヤー2013」では1位に選ばれるなど、スティーブ・ジョブスを超えるとも言われ、いまや世界中から注目を集めている起業家なので、ご存知の方も多いと思う。
一言で表すなら、“夢を夢で終わらせない男”だろう。いくつかの会社を起業し、その売却益で、子どもの頃からの夢だった宇宙開発を志し、民間の宇宙ベンチャー企業・スペースXを2002年に設立し、2006年にはNASAと業務提携。さらに自社開発のロケットを開発し、国際宇宙ステーションへ民間として初めてドッキングに成功。「夢物語」と一笑に付した多くの批評家たちを僅かな期間で黙らせることに成功した。さらに電気自動車産業でも彼は革命を起こしている。テスラモーターズの会長兼CEOでもあるマスク氏は、従来ではデザイン性が重視されていなかった電気自動車にラグジュアリーなデザインを導入。さらにもっとも重要視される燃費の面でも他メーカーを圧倒! さらにポルシェをも上回る速度に業界を唖然とさせた。既得権益が蔓延する国家的事業に堂々を乗り込み、風穴を開けてきたイーロン・マスク氏にはすでに21世紀最大の発明家との呼び声も高い。現代の革命児とはまさに彼のことを言うのだろう。

SPECIAL MAGAZINE #1 TAKU VERBAL

ここまでは、ふたりにとって自己の“外側”から刺激を与えてくれる「伝統」と「革新」について語ってきた☆TakuとVERBAL。
後半は、その視点をより個人的な領域へシフト。彼らの“内側”にあるクリエイティビティの源泉、それを形作った、あるいは今もその形成において重要なファクターであり続けるモノゴトについて語っていきます。

BUDDHA BRAND

日本語ラップの悟りを開いたヒップホップの伝道者

☆Taku 「“伝統”“革新”についてVERBALに話してもらったけど、次のキーワードは“熱望”。憧れていたモノ、ヒト、コトを教えてくれるかな」
VERBAL 「これはね……つい先日5月4日に他界してしまったBUDDHA BRANDのDEV LARGEさんですね。BUDDHA BRANDがいなかったら、いまの俺のラップは確立できなかったと思う。」
☆Taku 「俺らはBUDDHA BRANDに影響を受けたど真ん中の世代かもね。“人間発電所”(※1996年にリリースされたBUDDHA BRANDのデビューシングル)は本当に衝撃的だった。確実に日本のラップの歴史を変えた人だよね」
VERBAL 「俺も当時は英語でのラップしかやってなかったけど、BUDDHA BRANDを聴いて『こんなのあるんだ!?』って思って、日本語でラップしてみようかなって。でも、このときって☆Takuもラップやっていたよね」

☆Taku 「やってた、やってた。俺も自分でラップするってことにDEV LARGEさんからすごく影響を受けた。京都でDEV LARGEさんのライブを見に行ったことがあったよね」
VERBAL 「そうそう。“人間発電所”のときとか、俺らも歌詞を覚えているから、サイドMCになっていたよね、お前らも歌ってくれ、って(笑)」
☆Taku 「日本や海外のヒップホップの話をいっぱいしてくれたよね」
VERBAL 『三十三間堂は絶対に行った方がいい』とか神社仏閣の話もしてくれた」
☆Taku 「まさに『BUDDHA BRAND』っぽいなて思った(笑)。懐かしいな~」

日本語ラップ黎明期に打ち立てられた“金字塔”。初期m-floに与えた影響とは…? エピソードをもっと知るには番組アーカイブをチェック!

まさにクラシック中のクラシック、"人間発電所" "ブッダの休日"等が収録された名盤『病める無限のブッダの世界 〜Best Of The Best (金字塔)〜』。2000年リリース。VERBAL私物。

いまでは当然のように日本の音楽シーンで市民権を獲得しているヒップホップだが、20年前には一般層にはほとんど知られていないマイナーな音楽ジャンルだった。そんな黎明期のシーンから活躍したパイオニアたちに、DJ KRUSHやZEEBRA、RHYMESTERなどがいるが、そのなかでも本場NYで活動し、逆輸入という形で1996年に日本デビューを果たしたBUDDHA BRANDが与えたインパクトは凄まじかった。当時も「黒船襲来」に例えられており、彼らの日本語と英語が混ざったバイリンガルラップはシーンに大きな影響を与えた。VERBALの言葉を借りると「テーマもぶっ飛んでいて、『なに言っているんだろ、この人たち……』って思いながらも、なぜか歌詞を覚えてしまう」リリックやヒップホップマナーに則ったサンプリングによるトラック、スラングの導入など彼らのスタイルは、当時のヒップホップシーンを席巻。そのBUDDHA BRANDのリーダーであり、MC、トラックメイカー、プロデュースまでをも務めたのが故・DEV LARGE氏だった(2005年以降は、D.L名義で活動)。BUDDHA BRANDとしての活躍の他、クラシック中のクラシックとして知られるLAMP EYEの“証言”にも参加するなどMCとしての活躍、そして、BOBO JAMES名義でのDJ活動を通じて見せてくれた深い音楽造詣……。このような偉大なミュージシャンが45歳という若さで天に召されたことを惜しむばかりである。

自分のしたいことだけをする時間

クリエイティブとビジネスの狭間の行き来する“不惑の40歳”が求めるもの

☆Taku これまで色々と話してきてもらったけど、いまは音楽活動以外にジュエリーブランドをやっていたり、テクノロジーや映像を使ったインスタレーションもやっているよね。違うフィールドで多彩な活動をしているね」
VERBAL 「言い方が悪いけど、行き当たりばったりなんだよね。音楽を始めたのも☆Takuと久しぶりに会ったのがきっかけだったし、ジュエリーは元々好きで、オリジナルを作ってみたら、周りから『俺のも作ってよ』って言われることが多くて、結果的にブランドになったり」
☆Taku 「忙しいでしょ?」
VERBAL 「好きなことをやっているから、あまり考えていなかったこともあって、予想外の忙しさというか。いろんな人が関わっているからインフラを整えないと、とかね。だから、そういった部分を任せられる人にお願いして、負担を減らしたいなって」
☆Taku 「クリエイティブじゃないこともやらなきゃいけないもんね。プレイングマネージャーの“マネージャー”の部分を減らしていきたい?」
VERBAL 「40歳手前という年齢があるのかもしれないけど、そういったことからデトックスして、インスパイアされるものに突っ走りたいと思ってる。俺は大学が経済学部で、卒業した後に会社で営業もやってたから、嫌いじゃないんだけど(笑)。そっちにばかり時間をかけていると、だんだんとアーティストの自分がなくなっていくというか」
☆Taku 「そういった自分の現状を見て、いまもっとも“渇望”するものってなに?」
VERBAL 「“楽しいアートをクリエイトすることに突っ走りたい”。これが理想。でも、卵が先か鶏が先かって話でもあって、面白いことするにはお金が必要だし、お金を稼ぐにはしっかりとしたインフラがある組織を作らないといけない」
☆Taku 「それは俺もblock.fmを始めて、すごい感じた。」
VERBAL 「サークルのノリでいけるなら、それでいいんだけどさ。かといって、サークルのノリがなくなってしまうと面白いものも作れない」
☆Taku 「“遊び”がないと面白いものはできないよね」
VERBAL 「40歳を手前にして、自分のやりたいこと、得意なことがわかってきたし、自分の時間のリミットもわかってきた。だからこそ自分のしたいことができればね」

いまだから言い切れる、40代を目前にして求める理想的な時間の使い方とは…? エピソードをもっと知るには番組アーカイブをチェック!

孔子曰く「四十にして惑わず」。いわゆる“不惑の40歳”の一歩手前のVERBAL(今年の8月21日で40歳!)。音楽アーティストとしての活躍は多くの人が知るところだが、アクセサリーブランド「AMBUSH®」のデザインや3Dプロジェクションマッピングやモーションキャプチャースーツの最新技術の提供を行う株式会社WHATIFの代表として、多忙な毎日を送っている。そんなVERBALがいまもっとも渇望しているのは“自分のしたいことだけをする時間”。今回の番組を通じて、“伝統”の項目では、大戦時の防空要塞を改造したアートミュージアムを挙げ、“革新”ではいまもっとも注目を集めているビジネスマンの名を出してくれたように、VERBALは“アート”と“ビジネス”のバランスを常に求めているのだろう。これまでに我々に多彩で良質なエンターテインメントを届けてくれたVERBALだけに、数カ月後に迎える“不惑”以降は、さらにアッと驚かせてくれるような活躍を見せてくれるに違いない。

VERBAL (m-flo / PKCZ® / TERIYAKI BOYZ®)

m-flo、TERIYAKI BOYZ®での活動の他、新たにスタートしたクリエイティブユニット”PKCZ®”のメンバーとしても知られ、Pharrell、Kanye West、will.i.am (BLACK EYED PEAS)、AFROJACKなど海外のアーティストとも交流が深い。
近年はDJとしても飛躍を遂げ、そのスタイルはファッション界からの注目も熱く、ジュエリーブランド "ANTONIO MURPHY & ASTRO®"、"AMBUSH®"のデザインも手掛ける。
同時にクリエイティブエージェンシー "WHATIF" の代表として、3Dプロジェクションマッピングやモーションキャプチャースーツ等の最新技術の提供も始める。
今後もMixな感性を武器に、あらゆるジャンルでの活躍が期待されている。